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組織片培養

Millicell-CM組織片培養インサート

Millicell-CM組織片培養インサートは滅菌済みシングルユースの30 mmユニットで、長期にわたる組織片培養をする必要のあるユーザー用に設計されています。インサート周囲の壁は低く(4 mm)、シャーレにフタをしても内側に収まるようになっています。またインサートから切片を取り出さずにそのままインサート上で光学顕微鏡や電気生理学的測定装置を使用できます。Millicell-CM組織片培養インサートに使用しているメンブレンは、0.4 μMの親水性PTFEのBiopore CMメンブレンです。これは他のMillicell-CMユニットにも採用されているメンブレンと同じです。

注記: 次に示す例は、海馬切片を用いた代表的な組織片培養プロトコールです。この方法はスイスのジュネーヴにあるDepartment of Pharmacology at the University Medical Center(ジュネーヴ大学医学センター薬理学部)のDr. Luc. Stoppiniによる先駆的研究に基づいています。またプレコーティングをおこなわないその他の方法でも、同様に成功例が報告されています。

材料および試薬

  • Millicell-CMインサート ― カタログ番号PICM 0RG 50、ECM不要、10 μLの1 mg/mLポリオルニチン溶液で前処理済み
  • 薄くスライスされた組織切片(海馬切片など)
  • 組織培養培地(例)
  • 50% MEM ―カタログ番号 TMS-005-C
  • 25% ウマ血清
  • 25% HANKS平衡緩衝液(濃度5 mMのTRISおよび4 mMのNaHC03を添加して平衡化する、pH7.2)ペニシリンおよびストレプトマイシンを添加する場合もあります。また作製した溶液にグルコースを濃度6.5 mg/mLとなるよう加える場合もあります。
  • リンス溶液:0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.3)
  • 固定剤:0.1Mリン酸緩衝液(pH7.3)にグルタルアルデヒド1.5%およびパラホルムアルデヒド1.0%を添加
  • 一次脱水溶液:25%、50%、75%、95%および100%のアセトン溶液
  • 二次脱水溶液:PO(酸化プロピレン)
  • 浸透液:PO:EPON比が1:1および1:3の溶液包埋液:100%EPON
  • 光学顕微鏡用染色:メチレンブルーとアズールⅡのホウ酸ナトリウム溶液
  • 電子顕微鏡用染色:酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛水溶液
  • ポリエステル薄膜
  • Steriflip-GPまたはStericup-GPフィルターユニット
- カタログ番号 SCGP 005 25またはSCGP U11 RE

方法

A. 培養
  1. 組織サンプルから目的とする部分を切り出し、必要な組織をすべて採取するまで培地(「材料および試薬」の培地組成を参照のこと)中に保存します。培地はすべてSteriflipまたはStericupユニットであらかじめろ過滅菌しておきます。
  2. Organotypic Millicell-CMインサートを10 μLのポリオルニチン1 mg/mL溶液で前処理しておきます。
  3. 組織片を(パスツールピペットを用いて)メンブレンに移します。組織片をピペットに採る時、必ずピペットにはあらかじめ培地が入っているようにします。この培地はわずかではあっても、培地の薄い層を作り、切片の表面を湿った状態に維持するのに役立ちます。一般的に、組織切片には切片上を液体の薄い層で覆う程度の培地しか加えません。長期培養では組織を充分に空気(二酸化炭素添加)にさらして組織の正常成長と維持を促す必要があるからです。また、複数の切片を一つのメンブレンにおく場合もあります。そして培地を加えたシャーレにMillicell-CMインサートをおきます。一般的に35 mLのシャーレに使用する培地の量は1.1 mLです。
B. 顕微鏡観察
  1. 切片を0.1 Mリン酸緩衝液(pH 7.3)でリンスします。
  2. 切片を1.5%グルタルアルデヒドと1.0%パラホルムアルデヒドの0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.3)溶液中で、4 ℃で2時間固定します。
  3. 培養切片周囲のメンブレンを切り除きます。
  4. リン酸緩衝液(pH 7.3、氷冷)中に組織片を入れ、20 ℃の暗所で1時間すすぎます。
  5. リン酸緩衝液を変えて15分ずつさらに3回すすぎます。
  6. アセトン濃度を段階的に連続的に上昇させた溶液(25%、50%、75%、95%)中にそれぞれ10分間おいてサンプルを脱水してから、さらに100%アセトンで3回脱水します。
  7. アセトンを除いて酸化プロピレン(PO)を加えます(5分ずつ2回)。
  8. PO:EPON比を変えながら混液中で浸透します1:1次に1:3としてそれぞれ2時間ずつ)。
  9. 100% EPON中で一晩保存します。
C. 包埋
  1. 切片をEPON中で平らにして透明ポリエステル薄膜の間にはさみ、600 ℃で48時間包埋します。
  2. ポリエステル膜を取り除き、薄い組織片をEPONに再び包埋します。
  3. 60 ℃でさらに2日間重合させます。
D. 染色
  1. 1~2 μmの薄い切片は、光学顕微鏡観察用にはメチレンブルーとアズールⅡのホウ酸ナトリウム溶液で染色できます。
  2. 60~80 nmの超薄切片は、コーティングしていない銅製グリッド上にマウントし、酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛水溶液で染色します。
  3. 切片をPhilips EM300電子顕微鏡で80kV(または同等の条件で)観察します。

参考資料

  1. Stoppini, L., Buchs, P. A., Muller, D., “A simple method for organotypic cultures of nervous tissue” Journal of Neuroscience Methods, Vol. 37, pp.173–82, 1991.
  2. Buchs, P. A., Stoppini, L., Muller, D., “Structural modifications associated with synaptic development in area CA1 of rat hippocampal organotypic cultures” Developmental Brain Research, Jan 15; 71 (1): 81–91, 1993.
  3. Belenky, M., Wagner, S., Yarom, Y., Matzner, S., Cohen, S. and Castel, M.,”The suprachiasmatic nucleusin stationary organotypic culture” Neuroscience, Vol. 70, pp.127–43, 1996.
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