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可視化と顕微鏡観察法

顕微鏡を用いたサンプルの検討は次の3種類の方法でおこなうことができます。

  1. プレートの下側から観察するには(透明なPETまたはCMメンブレンを通して見る場合)
    PETまたはCMメンブレンを用いたMillicellユニットは、倒立顕微鏡を用いて細胞を下側から見られるよう設計されています。生細胞を見るには、培地の入っているレシーバーまたはプラスチックプレートを通して顕微鏡で観察します。細胞に焦点をあわせるには、顕微鏡の対物レンズ(多くは5~20×)からある程度の作業距離を確保できなければなりません。(対物レンズの規格については、下記「Microscopic Objective Information - 顕微鏡対物レンズについてのご案内」の章のリストにある各ウェブサイトをご覧ください)固定後の細胞は培地中で観察する必要がないので、レシーバープレートがなくても直接観察できます。ただし、メンブレンに液体が残留している場合(培地、マウント剤など)、対物レンズに触れて汚れることのないよう注意してください。
  2. プレートの上側から見るには(Millicell-6ウェルインサート、Millicell-24細胞培養インサートプレート)
    細胞培養方式によっては、一般的な顕微鏡で上側から低倍率で観察できるものもあります。無菌性を維持する場合はフタをしたままで、あるいは固定後の細胞や無菌性を維持する必要のない場合にはフタを外して細胞を見ることができます。上側から見る場合は下側から見る場合よりも作業距離の長い対物レンズを選ぶ必要があります。免疫蛍光法を用いる場合には、光退色を防ぐために耐退色剤を含むマウント液の使用をお勧めします。
  3. 顕微鏡のスライド上でメンブレンを見るには(高倍率または対物レンズの作業距離が短い場合[2 mm以下の場合)
    メンブレンをウェルから取り出して顕微鏡観察することも可能です。高倍率での検鏡が可能であり、またスライドは保存して後で使用することもできます。

メンブレンの上側から検鏡する場合には、対物レンズは一般的に5~20×を使用しますが、プレートのフタをつけている場合には18.03 mm(図のB)、またフタを外している場合には13.59 mm(図のA)以上の作業距離を確保できるレンズを選ぶ必要があります。メンブレンの下側から検鏡する場合には、作業距離が2 mm(図のC)以上あるような5~20×の対物レンズを使用します。


以下の手順で顕微鏡用スライドガラス上にメンブレンを調製します。
  1. メンブレンをウェルから取り出す場合、鋭利なメスを用いてメンブレンの端に小さい切込みを入れます。ウェルの直径の1/4程度のところをウェルの壁に添って注意しながら切ります。ピンセットカタログ番号XX62 000 06)でメンブレンをはさみながらウェルの径に添って切り、メンブレンを取り出します。または、コルクボーラーを使ってメンブレンを取り出すこともできます。

    注記:メンブレンが丸まらないように注意します。

  2. メンブレンディスクを、細胞を上側に向けて顕微鏡用スライドガラス上に置きます。
  3. マウント液50 μLをメンブレンディスクに加え、メンブレンの下側に気泡ができないよう液漬します。
  4. 気泡ができないような角度でカバーガラスをメンブレンディスクの上にゆっくりと被せます。

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顕微鏡対物レンズについてのご案内

顕微鏡の対物レンズの倍率および作業距離についての情報は、各光学機器メーカーまたは顕微鏡サプライヤーから入手できます。

透過型電子顕微鏡法(TEM)

注記:この手順を実施されるユーザーはTEMの手順についてすでにご存知であると仮定しています。

材料および試薬
  • Millicell細胞培養インサート
  • リン酸緩衝液(PBS)
  • グルタルアルデヒド
  • 四酸化オスミウム
  • カコジル酸ナトリウム
  • スクロース、研究用グレード
  • 塩化カルシウム
  • 硝酸鉛
  • クエン酸ナトリウム/水酸化ナトリウム
  • 酢酸ウラニル
  • エタノール
  • 平らな包埋用トレー
  • 包埋樹脂(EPON812等)
  • 微細ピンセット ― カタログ番号 XX66 000 06
  • ダイアモンドナイフ
  • コルクボーラー
  • Durapore Filter Disk ― カタログ番号 GVWP 047 00

Sample Pictures

マウス胚性幹細胞由来の胚様体(EB)の生きている状態での観察例。1 μm PET メンブレン付きMillicell-24 ユニット内で、Olympus IMT-2倒立顕微鏡で観察しました。

胚性幹細胞の神経分化。1 μm PET メンブレン付きMillicell-24 フィルタープレート内で観察しています。マウス胚性幹細胞が遊離の胚様体(EB)を形成してから1 μm PET メンブレン付きMillicell-24 プレートに移して接着と分化を進めました。左下の写真はメンブレンを介して培地中の生きているEB を観察した倒立位相差顕微鏡像です。接着したEB をレチノール酸処理した後における神経分化誘導は、抗神経フィラメント免疫蛍光法で確認しました。

A. 処理/細胞の調製

注記:1~5までの手順はMillicell細胞培養インサートまたはプレートのウェルで細胞をそのままの状態でおこなう必要があります。.

  1. 細胞を室温で、固定剤を加えていないリン酸緩衝液で洗います(5分間ずつ2回洗います)。
  2. 2%グルタルアルデヒドの100 mMカコジル酸ナトリウム緩衝液(室温、pH 7.5)で15分から2時間細胞を固定します。
  3. 室温で100 mMカコジル酸ナトリウム緩衝液により細胞を洗います(5分間ずつ2回洗います)。

    注記:この時点になれば、上述の緩衝液100 mLに対してスクロース7 gを加えた緩衝液中(4 ℃)で細胞を保存できます。.

  4. 1%の四酸化オスミウムの100 mMカコジル酸ナトリウム緩衝液または適切なリン酸緩衝液を用いた溶液中で細胞を固定します。
  5. エタノール濃度を以下のように変えて細胞を脱水します。
Ethanol Concentration Kit (%)Time (minutes)
3015
5015
7015
9515
1003 x 15

注記:Millicell-HAユニットを脱水する場合は包埋用の容器として用いる金属製の容器内でおこないます。これはセルロース系メンブレンは脱水プロセスでは強さに欠けることが理由です。この段階でメンブレンを移したりすると、細胞に機械的な損傷が及ぶ場合があります。.

  1. 浸透の場合にはEDPONの代替品であるEPON812またはLX112がいずれのユニットにも適しています(Spurr樹脂は使用しないでください)。一般的な浸透方法を以下に示します。

Ethanol Concentration Kit (%)/Tray (% Plastic)Time (minutes)
75/2530 on a shaker
50/5030 on a shaker
0/10030 each/3x on a shaker
0/100Overnight

注記:樹脂には酸化プロピレンなどその他の物質を使用する必要はありません。酸化プロピレンはセルロース系フィルターを溶かします。さらにこの段階では、標本の標準的な倒立/回転は、(1)細胞層に損傷が及ぶ、または(2)セルロース系フィルターが伸びることがあるため、お勧めしません。ゲルシェーカー装置でゆっくり振とうするだけで充分に浸透できます。.

注記:次の段階に進む前に、メンブレンを周囲のプラスチックリングからはずしておく必要があります。EPONがメンブレンとリングを緩めるため、特に作業しなくても自然に外れることもあります。自然に外れない場合には鋭利なメスまたはコルクボーラーでメンブレンを切ります。また、47 mmフィルターサポートディスクの上ではメンブレンが切りやすくなります。いかなる状況でも、重合の段階でメンブレンをリングにつけたままにしないで下さい。.

  1. 新鮮な樹脂に移して68 ℃で一晩重合させます。
B. 切片作製上の注意点
  • ニトロセルロース(HA)、ポリカーボネート(PC)およびポリエチレンテレフタラート(PET)メンブレンの場合:これらのメンブレンはどの平面でも問題なく切ることができます。
  • CM(Biopore)メンブレンの場合:Bioporeメンブレンは、最終的な切片の厚さに応じて、以下の二つの方法のいずれかで処理します。
    1. 90ナノメータ(nm)以上の厚さとする場合 -標準的な透過型電子顕微鏡観察用90 nm以上の厚さの切片では、細胞がBioporeメンブレンに接着します。メンブレンの方向は、メンブレン/細胞の軸をナイフの刃に対して垂直に向ける必要があります。このような向きにすることで、裏打ちとなっているPTFEをすでに切断した後のナイフを通過せずに細胞切片を切り出せるようにできます。切片を切り出した後には樹脂がいくぶん膨張しますがBioporeメンブレンは膨張しないので、切片にしわができます。ただしこの問題はほんのわずかであり、少しのしわなら電子線の熱がかかると解消されます。

      注記:CMメンブレンにはダイアモンドナイフを用いることで優れた切片を切り出せます。.

    2. 90 nmより薄い切片とする場合 - 超薄切片90 nmより薄い切片とする場合、細胞はBioporeメンブレンには接着しないので、切り出してから細胞をメンブレンからはがします。このサイズの切片はFormvar®(ポリビニルホルマル)コーティングしたグリッドにマウントして、マウント中に端が丸まらないようにする必要があります。細胞層をPTFEからはがしても細胞膜表面の損傷は起こりません。従って、90 nmより薄い切片を使用しても、基底側細胞表面の研究は可能です。


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