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DNAマイクロアレイ用の水


DNAマイクロアレイにおける水の使用

  • 作成処理中に水を使用します。採用された技術が写真平版法、プリント法、または電気化学的な方法かどうかにかかわらず、洗浄処理はどの技術でも欠かせない処理で、かなり大量の超純水を必要とします。写真平版法および電気化学技術では、化学反応させて、サポート材表面にオリゴヌクレオチド配列を合成する必要があります。この処理には緩衝液が必要で、超純水を使用して作成しなければなりません。
  • マイクロアレイ実験。DNAマイクロアレイ実験を行うためには、十分なDNAまたはcDNAを準備する必要があります。DNAまたはcDNAは通常、ある種のPCRベースDNA増幅技術(例:PCRまたはRT-PCR)から得ることができ、これにはヌクレアーゼフリー超純水が必要です。核酸材料がいったん準備できたら、ハイブリダイゼーション処理して、標的核酸をプローブに結合させます。これは緩衝液中で行われます。サポート材表面および核酸鎖への非特異的結合を取り除く洗浄処理で実験手順は終了します。

水質パラメータ

超純水の選択は、DNAマイクロアレイ実験全体を通して使用する種々の処理および材料に対応させる必要があります。実験では、以下のような処理が行われます:

  • DNAマイクロアレイ作成すなわちスライド/サポート材の作成
  • 核酸抽出およびPCRベースDNA増幅を必要とすることがある核酸サンプル作成
  • サンプルDNAと標的のハイブリダイゼーション処理を含む、DNAマイクロアレイ実験
  • 蛍光強度または化学発光技術に基づいた検出処理

DNAマイクロアレイの作成およびこのようなマイクロアレイを用いた実験では、いくつかの水質要求項目が共通しています。

ヌクレアーゼフリー水
サンプルだけでなくマイクロアレイそれ自体もヌクレアーゼによる分解を受けないようにするために、水はヌクレアーゼフリーとする必要があります。マイクロアレイの作成中には、核酸も分解を受けないようにする必要があります。核酸抽出およびDNA増幅処理にもヌクレアーゼフリー水が推奨されます。

限外ろ過を利用してヌクレアーゼを効率的に除去することができます。ポイント・オブ・ユース限外ろ過カートリッジを純水装置システムの出口に取り付けて、必要に応じてヌクレアーゼフリー水を製造することができます。

有機物
有機物は、マイクロアレイ作成中に問題を引き起こします。プリント処理では、プリント環境を最適化するために、サポート材表面を一点の汚れもない状態にしなければなりません。有機物が5ppbでも存在すると、サポート材表面へのオリゴヌクレオチド付着の効率が低下します。DNAがスライド表面と反応する他の作成処理では、水に由来する有機物はスライド表面の化学部位と非特異的に反応する可能性があるため、オリゴヌクレオチドと反応する確率が小さくなります。有機物はハイブリダイゼーション処理に悪影響を及す可能性があります。

水質は検出処理(蛍光強度または化学発光による)に影響を及ぼします。一部の有機物は、蛍光強度の増大や減弱を引き起こして、蛍光シグナル検出に悪影響を及ぼすことがあるため、有機物のレベルを低く抑えることが検出処理の最適化につながります。

イオン
ハイブリダイゼーション処理中のイオン濃度は重要です。最適な条件でハイブリダイゼーションを行うために、特定のイオン濃度を維持する必要があります。実質的にイオンフリーの水(比抵抗値18.2MΩ・cm)で開始すると、適したイオン強度およびpHで緩衝液を作成できます。

また、PCR用のポリメラーゼは、最大限の効率を発揮するために特定のマグネシウム濃度を必要とする一方で、カドミウムや鉄などの金属による阻害も容易に受けます。そのため、PCRベースDNA増幅には金属フリー水を選択する必要があります。水質汚染物質の影響に関する詳細な情報については、「PCRに求められる水」の項をご覧下さい。

シリカ
シリカは、サポート材表面にフィルムを形成し、プリント処理の効率を低下させます。そのため、シリカ濃度の低い水が強く推奨されます。通常は、逆浸透、EDI連続イオン交換、およびイオン交換樹脂など、異なる精製技術を組み合わせて水中のシリカを取り除きます。

オゾン
オゾンは蛍光シグナル、特にCy5の消退の原因となることが知られています。オゾンレベルは季節によって異なり、夏に最も高くなります。オゾンは超純水処理から生じることはありませんが、大気中に存在するため、大気と触れたときに水に溶け込みます。オゾンによる問題は、マイクロアレイに使用する超純水を慎重に取り扱うことで、軽減することができます。また、特定のスプレー製品は急速な蛍光シグナル消退からスライドを保護するようデザインされています。

DNAマイクロアレイに影響を及ぼす水質の例


グレードの異なる超純水で作成したDNAマイクロアレイを比較するために、ある試験を行いました(図1)。いずれの場合も、比抵抗値は 18.2 MΩ•cmと、イオンレベルは低いことが確認されました。いずれの水でも、細菌レベルは1cfu/mL未満でしたが、有機物レベルに違いがありました。実験Aでは、有機物レベルは22ppb(μg/L)と、実験の複数の処理に悪影響を及ぼすレベルでした。これは、DNAマイクロアレイの良好な測定を妨げます。実験Bでは、TOC(総有機体炭素)レベルは3ppbと、明瞭なスポットが得られ全体的に良好な結果となりました。

実験Aの水は、逆浸透とイオン交換樹脂を組み合わせて作成しました。実験Bの水は、逆浸透、連続イオン交換(Elixテクノロジー)、活性炭、UV光酸化、およびイオン交換樹脂を組み合わせて作成しました。

図1.


図1. グレードの異なる超純水で作成したDNAマイクロアレイの比較
実験A:比抵抗値 18.2 MΩ•cm、細菌レベル < 1 cfu/mL、TOCレベル 22 ppb。実験B:比抵抗値 18.2 MΩ•cm、細菌レベル < 1 cfu/mL、TOCレベル 3 ppb。

要約すると、比抵抗値が18.2 MΩ•cmと高く、TOC(総有機体炭素)が低く(5ppb未満)、細菌フリー(10cfu/100 mL未満)の超純水はDNAマイクロアレイに適しているため推奨されます。

     
 

参考情報

参考文献
  • Mabic S, Kano I. Impact of purified water quality on molecular biology experiments. Clin. Chem. Lab. Med., 41 (4), 486-491, 2003.

その他の情報

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