| ステリテスト無菌試験装置に対する過酢酸ガスの効果 |    | Tech Note - TB1012EN00 > カタログ仕様 |
はじめに
クローズ型でディスポーザブルのステリテスト無菌試験装置は医薬品の無菌試験で誤(偽)陽性の危険性を減らします。誤陽性の危険性をさらに減らすために、アイソレータ内で操作される医薬品メーカーもあります。一般的には、アイソレータは滅菌ガスを使って、浄化されているので、ろ過装置をアイソレータ内に置いて用います。
この試験はアイソレータ内で過酢酸ガスにさらされたHAメンブレン付の標準のステリテストデバイス(TLHALV210)と、さらされていないTLHALV210の菌の繁殖力を比較する目的で実施します。試験は2つのフェーズで行いました:
- フェーズ1では、過酢酸ガスにさらされていないステリテストTLHALV210と過酢酸ガスに6時間さらした後、12時間フラッシングしたステリテストTLHALV210の増殖を比較した。
- フェーズ2では、同様にさらされたステリテストと、さらされてないステリテストの比較をしたが、、残留過酢酸を排除するためのプレリンスによるメンブレンへの影響を判定するために、50mLの滅菌ペプトン水でキャニスターをプレリンスしました。
Figure 1. Pseudomonas aeruginosa は過酢酸に対する抵抗力が無いことを示します。
Pseudomonas aeruginosa は過酢酸に対する感受性が高いので増殖試験に選びました(Figure 1)。増殖試験は次のように実施しました。
- 100 mLのブロスに10~100芽胞を接種し、ステリテストキャニスター中のブロスに移します。
- 10 mLの寒天培地に10~100芽胞を接種し、コロニーを計測しステリテストキャニスター中の培地に移します。
- 溶液に10~100芽胞を接種し、溶液をステリテストキャニスターでろ過します。キャニスターからメンブレンを取り出し、ペトリ皿に置き、コロニーを計測*します。
* Pseudomonas aeruginosaは好気性菌なので、寒天培地中では増殖が阻害されると考えました。そのため、空気を通じたペトリ皿上のメンブレンで同じ計測数が得られるかどうかを判定するために、フェーズ 1で、この実験を実施しました。フェーズ 1の実験では7日間の培養後、2つの方法に大きな違いが見られず、フェーズ 2では寒天培地法を行うことを決めました。
実験の設計
フェーズ 1
ステリテストユニットTLHALV210と過酢酸ガスにさらしたステリテストTLHALV210の増殖
| 無菌コントロール | 10 cfuまでの増殖 | 100 cfuまでの増殖 | |
ETO-滅菌済ステリテスト | 1 ユニット 100 mLのブロスが入ったキャニスター1個 10 mLの寒天培地が入ったキャニスター1個 (コロニー計測) | 10 ユニット 100 mLのブロスが入ったキャニスター10個 10 mLの寒天培地が入ったキャニスター5個(コロニー計測) 5個のキャニスターからメンブレンをカットし、ペトリ皿に置きます(コロニー計測) | 10 ユニット 100 mLのブロスが入ったキャニスター10個 10 mLの寒天培地が入ったキャニスター5個 (コロニー計測) 5個のキャニスターからメンブレンをカットし、ペトリ皿に置きます(コロニー計測) |
| ETO-滅菌済ステリテスト+ 6時間アイソレータ+ 12時間フラッシング | 1 ユニット 100 mLのブロスが入ったキャニスター1個 10 mLの寒天培地が入ったキャニスター1個 (コロニー計測) | 10 ユニット 100 mLのブロスが入ったキャニスター10個 10 mLの寒天培地が入ったキャニスター5個(コロニー計測) 5個のキャニスターからメンブレンをカットし、ペトリ皿に置きます(コロニー計測) | 10 ユニット 100 mLのブロスが入ったキャニスター10個 10 mLの寒天培地が入ったキャニスター5個 (コロニー計測) 5個のキャニスターからメンブレンをカットし、ペトリ皿に置きます(コロニー計測) |
フェーズ 2
ステリテストと過酢酸ガスにさらし、キャニスターあたり50 mLの滅菌ペプトン水でプレリンスしたステリテストの増殖
キャニスターあたり50 mLの滅菌ペプトン水でプレリンス
| 無菌コントロール | 10 cfuまでの増殖 | 100 cfuまでの増殖 | |
ETO-滅菌済ステリテスト | 1 ユニット(プレリンス) 100 mLのブロスが入ったキャニスター1個 10 mLの寒天培地が入ったキャニスター1個 (コロニー計測) | 5 ユニット 100 mLのブロスが入ったキャニスター5個 10 mLの寒天培地が入ったキャニスター5個(コロニー計測) | 5 ユニット 100 mLのブロスが入ったキャニスター5個 10 mLの寒天培地が入ったキャニスター5個(コロニー計測) |
| ETO-滅菌済ステリテスト+ 6時間アイソレータ+ 12時間フラッシング | 1 ユニット(プレリンス) 100 mLのブロスが入ったキャニスター1個 10 mLの寒天培地が入ったキャニスター1個 (コロニー計測) | 5 ユニット 100 mLのブロスが入ったキャニスター5個 10 mLの寒天培地が入ったキャニスター5個(コロニー計測) | 5 ユニット 100 mLのブロスが入ったキャニスター5個 10 mLの寒天培地が入ったキャニスター5個(コロニー計測) |
| 使用品と試験法 使用品 下記の品物を使用します:
試験法 ステリテストユニットをアイソレータに入れ、アイソレータ内の最も厳しい場所を考えてスポアストリップ10本を置きます(例えば、アイソレータのコーナーとプリスターパッケージの間)。 そして、滅菌前にトリプティカーゼソイ培地が入った、シールされた12本の試験管をアイソレータ内に置きます(10本をスポアストリップ10本に、1本を無菌コントロールに、1本を増殖コントロールに)。 滅菌とフラッシング後、スポアストリップを10本の試験管に入れ(1本が1本の試験管に)、試験管を培養します。無菌コントロール試験管は閉じたまま、増殖コントロール試験管は同じ ロットから採取した非滅菌のスポアストリップと一緒に培養します。 このステップはアイソレータの滅菌の有効性を確認するために行います。 シールした2本の試験管を追加します:1本は乾燥過酢酸インジケータストリップと、もう1本は滅菌ペプトン液で判定前の過酢酸インジケータストリップを湿潤するために用います。 アイソレータの滅菌 アイソレータを自動滅菌器に接続します。滅菌に必要な過酢酸の量は50 mL/時間プラス残留量の150 mLでした。滅菌時間はタイマーで6時間に設定しました。過酢酸の流量(ベーパーとして)は45~50 mL/分に調整しました。アイソレータ内の圧力は6~7 mmH2Oに設定しました。 アイソレータのフラッシング 滅菌フェーズが終了すると自動的に12時間フラッシングフェーズになります。気泡を通ったろ過されたエアーの循環で行いました。全ての操作は、オペレータによって、一定のろ過エアーフロー下でグローブボックスを用いて行われました(流量は6~7 mmH2Oに調整)。 フラッシング後のアイソレータの滅菌を確認 過酢酸がBucillus subtilis芽胞(106)を殺滅することをスポアストリップで確認しました。予めスポアストリップを入れたトリプティカーゼソイブロスが入った試験管を、アイソレータの様々な場所に置きました。試験管(スポアストリップが入った試験管10本、増殖コントロール1本、滅菌コントロール1本)を37℃で14日間培養しました。 フラッシング後の酸性レベルの確認 アイソレータをエアーでフラッシング後、Merckoquant 5-50 mg 過酢酸インジケータストリップが入った試験管を開け、パッドを湿潤し、アイソレータをガスに5秒間さらした後、評価します。アイソレータ内の酸性度は 5 ppm以下です。 結果と考察 アイソレータ内の過酢酸レベル Merckoquant 5-50 mg 過酢酸インジケータストリップは、滅菌後の過酢酸のレベルが<5 ppmであることを示しました。 アイソレータは無菌状態を保持 アイソレータ内の様々な場所に置いた10本のスポアストリップは2回の滅菌で14日間の培養後、増殖が認められなかったことから、アイソレータの滅菌は有効でした。 |
| 実験 1:Experiment 1: ステリテストユニットTLHALV210と、過酢酸にさらされたステリテストTLHALV210の増殖 約 10 cfuで、7日間の培養後、液体培地の場合は30%の増殖抑制、固形培地(キャニスター中の10 mL寒天培地、あるいはメンブレンを切り離してペトリ皿に置く)の場合は80%の増殖抑制が認められました。 約 150 cfuでは液体培地の場合、少し増殖が遅くなり、固形培地 (キャニスター中の10 mL寒天培地、あるいはメンブレンを切り離してペトリ皿に置く)上では部分的に増殖抑制が認められました。Table 1と2を参照。 |
Table 2
| 実験 2: ステリテストユニットと過酢酸ガスにさらし、キャニスターあたり50 mLの滅菌ペプトン水でプレリンスしたステリテストユニットの増殖 ステリテストユニットは、5cfu、50 cfuの両方とも液体培地中および固形培地(キャニスター中に10 mLの寒天培地)上で、1日および7日後、良い増殖を示しました。Table 3, 4を参照。 結論 過酢酸に高い感受性があることで知られるPseudomonas aeruginosa を用いて実施した増殖試験では、アイソレータ内で過酢酸滅菌直後に50 mLの滅菌ペプトン水でリンスした場合、残存による増殖抑制の根拠を示しませんでした。 この結論はこの試験に於ける評価の状況だけでの有効性です。各アイソレータによって構造、面積、滅菌プロトコルが様々なので、アイソレータ毎に個々にバリデートすべきです。 もしも、過酢酸で滅菌したアイソレータでの無菌試験バリデーションで増殖抑制が見られた場合、ステリテストキャニスターが医薬品に接触する前の、実質的な最適なプレリンスを行うことをお奨めします。 |
Table 4

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